宗教法人の税金について

”宗教法人の税金”よくある疑問を一挙に解説

宗教法人の買収を検討されている方の中には、税金面でのメリットに注目している方もいるでしょう。

「宗教法人は課税されない。」という話が一人歩きしていますが、これは誤った情報です。今回は、宗教法人の税金がどのような決まりとなっているのかまとめて解説をしていきたいと思います。

 

「宗教法人は課税されない。」という話をよく聞くのはなぜ?

宗教法人が課税されないという噂が出回ってしまうことの原因として考えられるのは、宗教法人の行う「宗教活動」が課税されないためでしょう。

 

”法人税”の原理原則は、”法人による営利目的の活動に対しての課税”です。「宗教活動」は一般の企業活動とは違い営利を目的としたものでは無いので課税されないのです。

この「宗教活動」として定義されるものは、お賽銭や寄付など具体的に定められており、それらによって生じる利益は実際に課税の対象ではありません。

 

 

しかし、例えば宗教法人が保有する敷地を利用して駐車場を経営したとしたらどうでしょうか?

こちらは「宗教活動」ではなく、利益を目的とした立派な「収益事業」です。こういった事業に対してはしっかりと税金が課せられます。

 

 

つまり、宗教法人の行う活動の中でも、「宗教活動」か「収益事業」かによって扱いが異なるのです。

 

宗教法人の収益事業

では、宗教法人の行うどのような活動が、「収益事業」としてみなされるのでしょうか?

 

法人税法では、以下の以下の34種類の事業を宗教法人の収益事業として規定しています。

なお、これらの事業は宗教法人であれば”自動的に”行うことが認められるものであり、定款などへの記載がなくとも着手することが可能です。

1. 物品販売業 2. 不動産販売業 3. 金銭貸付業
4. 物品貸付業 5. 不動産貸付業 6. 製造業
7. 通信業、放送業 8. 運送業、運送取扱業 9. 倉庫業
10. 請負業 11. 印刷業 12. 出版業
13. 写真業 14. 席貸業 15. 旅館業
16. 料理店業その他の飲食店業 17. 周旋業 18. 代理業
19. 仲立業 20. 問屋業 21. 鉱業
22. 土石採取業 23. 浴場業 24. 理容業
25. 美容業 26. 興行業 27. 遊技所業
28. 遊覧所業 29. 医療保険業 30. 技芸教授業
31. 駐車場業 32. 信用保証業 33. 無体財産権の提供業
34. 労働者派遣業

 

これらの収益事業からでた所得には法人税が課せられますが、税率は所得に対して19%と、株式会社等の一般の法人に比べて軽減されています。

 

まとめると、「宗教活動に関わる活動であれば非課税、収益活動は課税対象だが低い税率が適用」、ということになります。

 

宗教と関係ないビジネスも低い税率で行える?

宗教法人が収益活動を行なっても良いということを知ると、このような疑問を抱かれる方もいるようです。つまり、世の中にある色々なビジネスは宗教法人で行うことによって軒並み低い税率で成り立つのでは?ということです。

 

実際には、このような抜け道は存在しません、宗教法人方第六条により、収益事業はあくまで「宗教法人の目的に反しない」範囲内で行わないといけないと規定されているからです。

つまり、宗教法人を箱として取得し、その法人を用いて不動産ビジネスを低い税率で行おう、というようなことは許されないのです。

 

「宗教活動」か「収益事業」かの判断

さて、次に、宗教活動と呼ぶべきか収益事業と呼ぶべきか判断の難しい事業を見ていきましょう。

 

お守り、お札などの販売

仕入れと販売額の差が大きく、実際には売り上げが”寄附金”とみなされるようなものの販売は、収益活動ではなく宗教活動として認められます。お守りやお札などはこれに該当することがほとんどです。

 

一方で、写真帖やろうそくなど、一般の物品販売業者と概ね同じようなコスト構造でビジネスを成り立たせているものに関しては物品販売業となり、こちらは収益事業になります。

 

 

売っているものが、”宗教的価値のあるもの”なのか、もしくは”一般的なもの”なのかによって扱いが分かれるということですね。

 

墓地の貸し付け

墓地の貸し付け活動に関しては基本的に宗教活動とみなされ、非課税になります。これは宗教法人に特有の活動であり、一般的な不動産販売業とは異なることが理由とされています。

 

一方、これは非常に判断の微妙なところで、過去には最高裁まで争った結果”収益事業”として認定された宗教法人もありました。

 

争点になるのは、「土地の買収・造成を経て行われる販売行為が、不動産販売業たる収益事業に該当するかどうか」ということであり、もう少し具体的にいうと、「一般私企業との間で競合関係を有する事業であるか」ということが決め手になります。

 

しかし、一般的には非課税と考えておいて問題ありません。

 

茶道、生花などの教授

宗教法人が、茶道教室、生花教室などを解説して顧客にこれらの技能を伝授する活動を行う場合、これらは「収益事業」として課税対象となります。

 

先ほどの収益事業の区分で言うと、「技芸教授業」という扱いになるのですが、作動や生花の他には、洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザインなどが含まれます。

 

まとめ

以上、宗教法人とはいえ全ての活動が非課税になるわけではないということがお分かり頂けたと思います。

しかし、実際に株式会社などの一般的な法人に比べて税制面で優遇されていることは事実です。

 

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