後継者不足や経営難から、宗教法人の売却を考える代表者の方は年々増えています。
売却にあたって最も気になるのは、その価格でしょう。一体いくらで売れるのか、あらかじめ相場を知っておきたいと考える方は多いはずです。
宗教法人は売買の全体数が多くない上に物件によって価値が大きく異なるため「一般的な価格」というものは存在しませんが、今回はいくつかの売却事例、交渉事例を見ることで宗教法人の大まかな相場感をお伝えできればと思います。
関西エリア/単立法人(休眠法人) 250万円
単立法人でありながら500万円以下の売却案件も存在しますが、休眠法人となっている場合が多いです。
休眠法人とは年一回の活動報告を提出していない法人であり、買ったとしても都道府県から宗教法人としての認可が下りない場合があります。
休眠法人を活動法人にするためには、数年の時間と建物に掛る数百万円の投資が必要となりますので、買い手の立場からすると「訳あり物件」という扱いになってしまいます。
関西エリア/被包括法人 500万円
被包括法人の場合、一般的には、まずは単立化をして単立法人にしてからの売却となります。
こちらの案件では、宗教法人の印鑑等を買主に渡し、単立化に関わる業務も全て買主が行うということで売却案件として上がっているもの。
買い手からすると実質的には宗教法人を買っているのではなく、「印鑑」を買っているだけになり、買った後に単立化できるかどうか分からないというリスクを孕んでいます。
東北エリア/単立法人 900万円
土地と建物にほとんど価値がなく、ほぼペーパー法人に近い宗教法人の売却案件です。
売主側の意向により、できるだけ早く資金が欲しいということで、1,000万円以下の案件として出ていました。
関東エリア/単立法人 1,400万円
こちらも土地と建物にほとんど価値がなく、実質的にペーパー法人として売りに出されていた案件です。
土地と建物が存在しない、もしくは土地と建物が実質的にほとんど価値を持たない、いわゆる「ペーパー法人」の場合、800万円から3,000万円ほどで取引されることが多いです。
(もちろん単立法人であり、活動法人であることが前提です。)
中東エリア/単立法人 2,800万円
そこそこの広さの土地と建物がついている案件です。
宗教法人としての価値1,000万円程度に、土地と建物の価値1,800万円が乗せられこの価格感で売りに出されていたようです。
売却にあたっては、土地と建物、その他資産の価値を第三者機関に査定してもらうことをお勧めします。
関西エリア/単立法人 3億円
かなりの広さの土地に、由緒正しき立派な建物があり、檀家も数百ついている状態での売却案件。
法人としての収入もある状態であり、そのあたりを加味しての金額になっています。
関東エリア/単立法人 15億円
有名なお寺です。土地、建物の価値も高く、また収入面も堅調です。
この規模になってくると、法人としての将来推定される収入から現在価値を算定していく必要があり、中規模の株式会社売買の際の金額決定ロジックと近くなっていきます。